ポーカーとはどんなゲームか

ポーカーとはどんなゲームか

より深い理解をすると、ポーカーとはどんなゲームかという見方が変わります。ここでは僕の理解をもとに主観的な説明をしてみます。

ハンドレンジ vs ハンドレンジ

プレイ中にアクションを決めるとき、「相手がどのハンドを持っているか」といったレベルまで詳細な情報は持ち合わせず、頼りにできません。似た理由で、自分がどのハンドを持っているかという情報も自身の戦略の決定にそこまで強い意味を持ちません。相手がどのハンドを持っているかを特定できないのと同じように、相手もこちらのハンドを特定できないからです。

相手がどんなハンドを持っているかを考える上でも、自分のハンドをどう主張するかという面でも、扱う情報は常にハンドレンジになります。「相手のハンドレンジが X で自分のハンドレンジが Y だから最適な戦略は Z だ」という意思決定プロセスになります。

プレイ中に気をつけないといけないことは、レイズやコールなどのアクションを取り交わす中で相手のハンドレンジを絞り込んでできるだけ狭く特定していき、逆に自分の持ちうるハンドレンジを相手に絞り込ませないことです。

均衡戦略をベースに相手の弱点を探す

ポーカーにおいて最も利益的な戦略はエクスプロイト戦略 です。相手の戦略にある一定の傾向を利用して自分の戦略を変化させ、より利益的にプレイすることです。ポーカーのあらゆるシチュエーションには必ず複数の均衡戦略があるものの、多くのプレイヤーは均衡戦略から外れたプレイングをしています。これはそもそも均衡戦略が何なのかプレイ中に考えていないプレイヤーが大多数いることと、そしてそれらのプレイヤーに対してエクスプロイト戦略をとっているプレイヤーがいることに起因します。

エクスプロイト戦略は相手の戦略が均衡戦略からどのように・どれくらい離れているかを探ることで見つけられます。 たとえば均衡戦略としてのコール頻度が 23\frac23 であるシチュエーションで 13\frac13 ほどしかコールしないプレイヤーがいたとき、そこには対応するエクスプロイト戦略が存在し、より多くの利益をあげられます。これは「均衡戦略でのコール頻度が 23\frac23 である」という事実を知っているからこそ導き出せるエクスプロイト戦略です。

運要素は頭脳ゲームを彩るスパイス

あなたのハンドは毎回 72 で相手のハンドは毎回 AA でそれが 100 万回続く...。といった天文学的確率の稀なケースを除けば、「運が良い」「運が悪い」というのは一過性であり、最終的に全プレイヤーにとって同じ期待値に収束します。ポーカーでの主な利益源はポーカーへの深い理解とその実行であり、損失元はプレイングミスです。

ゲーム理論的な考え方をしたとき、配られるハンドによってその時にとりうる最適な戦略が変わることになります。しかし良いハンドが配られたから常に良い結果になるというわけではないのと同じように、悪いハンドが配られたからといってすべてが悪い結果になるわけではありません。ハンドそれぞれに違ったプレイの仕方があり、大切なのはシチュエーションごとに最適な戦略は何なのかを考え続けることです。

言うなれば「どんなハンドが配られるか」「どんなボードが開くか」というランダム要素があることで、我々はほぼ毎回違った対応を求められます。このランダム要素があることで毎回異なるシチュエーションを楽しめるのです。